■転載禁止■

■シジュウムの未知の力は最近の研究で少しずつ明らかにされています。特に厚生労働省の助成金による研究は大きな成果を生んでいますが、残念なことにこれら研究成果は一部の関係者にしか目に触れない物となっています。
そこで、せっかくの研究成果を少しでも理解していただこうと、この場で一部を紹介いたします。
■同研究報告書では
、シジュウムの効果はアレルギー症状の緩和だけでなく、免疫機能の促進、ウイルス性の感染抑制など多岐にわたっている事を示唆しているため、今後の研究が期待されます。
■研究報告テーマは次のとおり、

 T 「小児アトピー性皮膚炎に対する
シジュウムの臨床的効果」

 U 「 シジュウムの炎症細胞に与える効果と有効成分の分離」
 V 「Th1/Th2型ヘルパーT細胞機能へのシジュウムの影響に関する研究」
 W 「天然薬物シジュウムの抗HIV作用・HIV母児感染予防に関連して」
■なお、転載はご遠慮ください。


平成11年度 厚生科学特別研究
事業および総合研究報告書


アレルギー疾患を抑制する天然薬物
シジュウムに関する研究


平成12年3月
総括研究代表者 北中 進(日本大学薬学部症生薬学研究室)


-分担研究報告書-

T.小児アトピー性皮膚炎に対する
シジュウムの臨床的効果

分担研究者 鈴木五男・東邦大学第二小児科学教室 助教授

研究要旨 

 天然薬物シジュウムにより精製された塗布剤をもちい、2年度の評価の裏付けとして塗布剤の二重盲検法(1ヶ月)を用い、その臨床効果と皮膚炎症所見の改善を観察し、炎症改善の評価の指標として、血清ECP値、血清NO値、血清RANTES値、血清Eotaxin値、さらに、IL-8を測定した。対象および方法は東邦大学大橋病院小児科外来および関連病院に受診のアトピー性皮膚炎児に実施した。
 その結果、臨床効果(睡眠、かゆみ、日常生活の改善具合および、薬剤使用の変動など)および皮膚所見は有意に改善し、またその指標として測定した血清ECP値、血清NO値、血清RANTES値、血清Eotaxin値は臨床像に一致しシジュウム剤使用群で有意の低下を見た。
 以上により、シジュウムによって生成された塗布剤は、アトピー性皮膚炎に対し、臨床的に有効であり、特にアトピー性皮膚炎にとって最も問題となるかゆみ対策に効果があることが明らかになった。また一般に臨床に用いられているステロイドを含めた薬剤の使用の減少につながることが確認された。さらに種種の炎症を指標としてECP、NO、RANTES、Eotaxinの測定では臨床像に一致して有意な変動を認め、アトピー性皮膚炎が炎症性病態を示唆して可能性を示しており、一方、シジュウムが皮膚での炎症性反応をある程度抑制しているであろうことが示唆された。

A.はじめに

 アトピー性皮膚炎は痒みを伴った慢性の皮膚疾患と定義されている。本症は主に日常生活の種種の抗原によって起こるアレルギー疾患であり、組織学的に接触性皮膚炎に似た慢性炎症性疾患といわれ、そのメカニズムも解明されつつある。しかし、その悪化因子は多岐にわたるため、その治療は なかなか困難なことが多い。特に本症に特有な痒みは日常生活に睡眠障害、精神障害など多大な影響を与え、またその皮膚症状は本人のみならず、周囲の人々に違和感を強く与え、学童などではいじめ、登校拒否などの社会問題にもなっている。アトピー性皮膚炎の治療は、皮膚所見の改善と共にこの痒みの改善がその主な治療となっている。
 シジュウムは南米産フトモモ科の植物で、その抽出液であるmethyl gallateは選択的にTh2に作用し、サイトカインの産生を抑制することやシジュウムの主要成分である加水分型のタンニンが、NO合成酵素抑制作用や酵素活性阻害作用を示すことなど、基礎的研究において種種の抗アレルギー作用、抗炎症作用を有する報告がなされている。これまでこのような抗アレルギー作用のあるシジュウムにより生成された塗布剤を用い、その有効性を報告(平成9、10年度報告書)してきた。そこでさらに科学的有効性の確証を得るため、シジュウムエキスの入っていない塗布剤を作成し、二重盲検法でその有効性を臨床的および血液学的に検討した。
 なお、本研究で用いたシジュウム塗布剤の含有成分はシジュウムエキス、ビオセラミド、セピゲル305、パラオキシ安息香酸エステル、グリチルルチン酸ジカリウム、ホホバ油、精製水である。

B.対象および方法

 対象は東邦大学第二小児科および関連病院に受診中のアトピー性皮膚炎の小児33名、(男21名、女12名)また、年齢は7ヶ月から14歳である
 方法  -中略-

C.結果 
 1皮膚所見
 2臨床症状
 3治療薬の変動
 4血液学的検討 
         以上中略
D.考察

 アトピー性皮膚炎の病態が次第に解明され、皮膚のバリア機能の低下によるものといわれ、さらに多岐にわたる外的・内的因子による慢性の刺激による接触性皮膚炎としての炎症所見として捉えられている。
 本研究ではこれまでのシジュウムの臨床的有効性を科学的評価する目的で二重盲検法による検討を行い、臨床所見および血液学的評価を行なった。
 その結果、シジュウムの皮膚症状は湿潤・びらんおよび乾燥所見では優位の効果を示し、紅斑、苔癬化でも有意な有効性を認めなかったものの改善傾向を示していた。
 また、痒み、日常生活や睡眠障害に対する検討では優位差を認め、特に痒みの効果は優れ、また使用2週間後からその効果を認めていた。
 外用薬の使用頻度の検討では、シジュウム使用例で有意の使用内容の改善が見られ、特に問題とされているステロイド剤の使用頻度が減少していた。
 一方、血液学的検討において、炎症反応の評価に有効といわれるECP値はシジュウムの使用で改善と共に有意に低下していた。
 さらに、アトピー性皮膚炎の局所で、主に単球および上皮細胞の活性化によりNOが産生され、炎症の指標といわれるNO値の測定では、有意に症状の改善群で低下していた。
 また、アレルギー性炎症として局所への好酸球の遊走・集積にはRANTESあるいはEotaxinなどに代表されるCCケモカインが関与されるとされる。 また、感染性炎症場面での好中球の遊走・集積にはCCケモカインによって調整されるといわれる。そこで今回の研究ではECPに加え、これらの検討を行なったが、血清RANTES値、Eotaxin値とも症状の改善により有意に低下していた。
 このことは、アトピー性皮膚炎が炎症性病変を強く示唆するとともに、症状の改善の評価にRANTES値、Eotaxin値が有用と考えられた。一方、IL-8は有意な変動は認めなかったが、皮膚症状で湿潤が多い症例で高い傾向を認め、急性憎悪に関与しているとの報告もあり、今後さらに症例を加え、検討が必要であると考える。

E.結語

  1. シジュウム塗布剤によるアトピー性皮膚炎に対する臨床的検討を行なった。
  2. 臨床的には湿潤・びらん、および乾燥に対する効果に有意な傾向が見られ、その効果の早いものは2週で見られた。
  3. 痒み、睡眠障害、日常生活障害の改善にも有意であり、特に痒みの効果は優れ、使用2週で効果を認めた。
  4. 外用薬の使用頻度はシジュウム使用例で有意の低下が見られた。
  5. アトピー性皮膚炎の評価として、血清ECP値、血清NO値、血清RANTES値、血清Eotaxinの検討では投与前、投与後で症状の改善とともに有意に減少し、これらの検査がアトピー性皮膚炎の改善の評価に有効と言える。
  6. 以上の結果、シジュウムがアトピー性皮膚炎の補助的効果として期待できるものと考える。

U.シジュウムの炎症細胞に与える効果と
有効成分の分離

主任研究者 北中 進・日本大学薬学部教授

研究要旨

 シジュウムは、各種アレルギー疾患に効果をあげている植物である。これまでマスト細胞からのヒスタミンの検討および有効成分の分離についての検討を行なってきたなか、新規ベンゾフェノン配糖体を単離した。さらにマクロファージに影響を及ぼす新規化合物をふくむセスキテルペノイドを単離した。これらの構造決定と生物活性について検討した。

A.研究目的

 アトピー性皮膚炎、気管支喘息およびアレルギー性鼻炎などの疾患はI型アレルギー反応によって引き起こされる疾患で、世界的に見ても大きな社会問題になっている。しかし、副作用が少なく有効な医薬品は現在のところ見出されていない。
 このI型アレルギー反応はアレルゲンの感作により免疫担当細胞からのケミカルメディエーターおよびサイトカインの遊離が開始され、持続的に炎症反応が起こる疾患である。このケミカルメディエーターおよびサイトカインの遊離を抑制する物質から、抗アレルギー剤開発のためのリード化合物を発見することが期待されている。
 シジュウムは南米産フトモモ科の植物で、葉は民間薬として経験的にアレルギー疾患に利用されており、これまでにヒスタミン遊離抑制物質として数種のタンニンが単離・同定されている。タンニンのような高極性物質ばかりでなく、低極性物質に着目し、炎症細胞に作用する物質を探索した。

B.研究方法  -中略-
C.研究結果  -中略-

D.考察

 今回はエキス段階では比較的ヒスタミン遊離抑制活性の弱い画分の成分を探索し、新規ベンゾフェノン配糖体を単離構造決定するとともに、弱いながらもヒスタミン遊離抑制活性を有することを明らかにした。なお、クロマトグラムの上、化合物1の近傍には類似物質を含む画分がいくつか存在していることから、これらの精査が望まれる。

E.結論  
        -中略-
 これまでシジュウムにはタンニン類という水溶性ポリフェノールにヒスタミン遊離抑制活性を有することを明らかにしてきたが、比較的疎水性物質にも同様の活性が存在することを明らかにした。また、これらにはNO産生IL産生能にも関与することから、シジュウムの抗炎症作用が多岐にわたることを示唆するものである。


V Th1/Th2型ヘルパーT細胞機能への
シジュウムの影響に関する研究

分担研究者 豊島 聰・星薬科大学教授

研究要旨

 methyl gallateよりTh2サイトカイン(IL-4)産生抑制に関し 、選択性および抑制活性の高い化合物を検索するため、methyl gallateおよびその類縁化合物(gallic acid、ethyl gallate、propyl gallate)についてTh2サイトカインであるIL-4の産生に対する影響を検討した。
 いずれの化合物も抗CD3抗体刺激マウス脾リンパ球におけるIL-4の産生を抑制したが、Th1サイトカインであるIFN-γの産生にはあまり影響しなかった。しかし、gallic acidはIL-4の産生を抑制する濃度で細胞毒性を示したため、毒性を示さない量で抗アレルギー作用を期待できないかと考えられた。
 また、propyl gallateは、接触性皮膚炎などW形アレルギーを誘発する事が報告されている。したがって、methyl gallateとethyl gallateが抗アレルギー作用を示す化合物として期待されたが、ethyl gallateはmethyl gallateより低濃度でIL-4の産生を抑制したことから、その有用性が示唆された。

A.研究目的
B.研究方法
C.研究結果
D.考察      -以上中略-

E.結論 

 花粉症などI型アレルギーの発症に関わるTh2サイトカインであるIL-4の産生を、ethyl gallateがmethyl gallateより低濃度かつ選択的によく抑制することが明らかとなった。


W.天然薬物シジュウムの抗HIV作用
HIV母児感染予防に関連して

分担研究者 早川 智・日本大学医学部産婦人科学教室

研究要旨
 
 HIV感染妊婦において、HIV垂直感染の予防法を確立することは、産科臨床的に大変意義の深いことである。HIVの経胎盤感染は比較的少なく、なんらかの局所的防御機構の存在が挙げられる。
 したがって、、CD4非依存的なHIV感染機構を解明することは、垂直感染予防のみならず、中枢神経へのHIV感染機構の解明にもつながると考えられる。
 今回、HIV感染患者胎盤の解析ならびに培養絨毛細胞を対象に各種検討を行なった。さらに、われわれが先に報告したTh1誘導活性、IFN-γ産生増強活性を有する天然物質シジュウムをもちいてHIVのCD4依存性、非依存性に対する効果について検討した。

A.研究目的

THIV母児感染の解析
 近年、わが国において、異性間、同性間の接触によるHIV感染者が著しく増加している。また、血液製剤による感染者とその配偶者が妊娠、出産を希望することも多い。HIV感染妊婦において胎児新生児に対する垂直感染の予防は産科臨床的に重要な課題である。
 AIDSの垂直感染は多くの場合、産道感染によるために陣痛発来前に選択的帝王切開を施行することによって予防が可能であるが、妊娠中に成立する経胎盤感染は確実な予防が困難である。文献的にはHIV感染妊婦より生まれた新生児の約10%に垂直感染が見られ、多くの場合10歳以前に発病し、死亡するとされる。
 しかしながら、HIVの経胎盤感染は比較的少なく、なんらかの局所的防御機構の存在する可能性が示唆される。胎盤絨毛細胞にはCD4が存在せず、CD4を介さないHIVの感染機構解明は垂直感染予防の確立のみならず中枢神経へのHIV感染機構の解明にもつながると考えられる。
 本学ならびに国立感染症研究所エイズ研究センターにおいて1998年から1999年に収集したHIV感染患者胎盤と培養絨毛細胞を対象として以下の検討を行なった。

Uシジュウムの抗HIV作用
 南米インディオはシジュウムならびに関連生薬をウイルス感染症に使用しており、その臨床的有効性から、消炎作用と同時に抗ウイルス作用の存在が推定される。
 我われは先に天然薬物シジュウムの細胞性免疫活性化作用としてTh1細胞の誘導活性やIFN-γ産生増強を報告した。現在、致命的なウイルス感染症であるHIVのCD4依存性、非依存性感染に及ぼすシジュウムの作用について検討した。

B.研究方法
THIV母児感染の解析
                -中略-
Uシジュウムの抗HIV作用
 ●CD4依存性感染に及ぼすシジュウムの作用
 健常人4名の末梢血より採取したCD4陽性Tリンパ球に、国立感染症研究所において維持している日本人由来のHIV株をチャレンジし、120時間後に培養上清中のHIVp24をELISAにより定量した。この実験系においてウイルスの添加前にシジュウム粗抽出物を加えて検討した。
 ●CD4非依存性感染に及ぼすシジュウムの作用
 樹立絨毛癌細胞株JEG-3に、国立感染症研究所において維持している日本人由来のHIV株をチャレンジし、120時間後に培養上清中のHIVp24をELISAにより定量した。この実験系においてウイルスの添加前にシジュウム粗抽出物を加えて検討した。
 ,●HIV感染患者由来リンパ球におけるHIV産生に及ぼすシジュウムの作用
 HIV感染患者2例より同意を得て採血し、CD4リンパ球をマグネチックビーズによって分離した。このリンパ球をPHA5µg/ml、IL-2 100IU/mlによって刺激し、120時間後に培養上清中のHIVp24をELISAにより定量した。この実験系にシジュウム粗抽出物を加えて検討した。
 ,●HIV感染患者由来リンパ球のアトポーシスに対するシジュウムの作用
 HIV感染患者2例より採血したCD4リンパ球をPHA5µg/ml、IL-2 100IU/mlによって刺激し、72時間後にアポトーシスをDNA ladderの形成より検討した。この実験系にシジュウム粗抽出物を加えて検討した。

C.研究結果および考察
THIV母児感染の解析
                -中略-
Uシジュウムの抗HIV作用
,●CD4依存性感染に及ぼすシジュウムの作用
 CD4陽性Tリンパ球では、ウイルス量はシジュウム添加により、100ng/ml以上の濃度で濃度依存的に減少した。
,●CD4非依存性感染に及ぼすシジュウムの作用
 CD4陽性Tリンパ球では、ウイルス量はシジュウム添加により、100ng/ml以上の濃度で濃度依存的に減少した。
,●HIV感染患者由来リンパ球におけるHIV産生に及ぼすシジュウムの作用
 HIV感染者CD4陽性Tリンパ球では、ウイルス量はシジュウム添加により、1000ng/ml以上の濃度で減少した。
,●HIV感染患者由来リンパ球のアトポーシスに対するシジュウムの作用
 HIV感染者CD4陽性Tリンパ球のアトポーシスは、シジュウム添加により100ng/ml以上の濃度で抑制された。

D.結論 
THIV母児感染の解析について

  1. HIV感染妊婦胎盤に特異的な所見はないが、HIVp24が染色される症例がある。
  2. 抗原性によって分離した絨毛細胞、Hofbauer細胞にHIVmRNAが存在する。
  3. HIVはCD4非依存的に絨毛癌細胞に感染するが、ケモカインレセプターは関与する。
  4. 絨毛細胞と脱落膜リンパ球の間にケモカインを介した情報伝達が行なわれている。
  5. 胎児に感染するHIVは母体に感染したHIVのごく一部である。
  6. 健常新生児臍帯血には健常成人の約10倍濃度のIL-16が存在する。
  7. 新生児臍帯血リンパ球は構成的にIL-16mRNAを発現する。
  8. IL-16は臍帯血CD4リンパ球に対するHIV感染を濃度依存的性に抑制する。
  9. 脱落膜リンパ球はIL-16を産生しており、局所におけるHIV感染防御に作用している可能性がある。

Uシジュウムの抗HIV作用について

  1. シジュウム粗抽出物は、100ng/ml以上の濃度でCD4陽性Tリンパ球におけるHIVp24産生を濃度依存性に抑制した。
  2. シジュウム粗抽出物は、1000ng/ml以上の濃度で絨毛癌におけるHIVp24産生を濃度依存性に抑制した。
  3. シジュウム粗抽出物は、1000ng/ml以上の濃度でHIV感染患者CD4リンパ球におけるHIV産生を抑制した。
  4. シジュウム粗抽出物は、1000ng/ml以上の濃度でHIV感染患者CD4リンパ球におけるアトポーシスを抑制した。